と畜後の牛肉の変化と飼養管理が及ぼす影響について

枝肉見方・品質改善

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(補足)酸素化と酸化の差異 

 還元型Mbが酸素を蓄え酸素化すると、酸素型Mbになります。さらに長く空気にさらすと自動的な酸化が進み、酸素化したMbは酸化したメト型Mbなります。ミオグロビンMbが酸素と結合する(蓄える)ことを酸素化と呼び、電気的結合の酸素化と区別します。

 メト化とは、筋肉中に存在する色素たん白質であるミオグロビンが電気的に酸化し、メトミオグロビンになることです。簡単に区別するならば、酸素化は通常の食肉で起きる好ましい反応で、酸化は好ましくない反応(品質劣化、腐敗)です。

2.固さ

(1)死後硬直

 先述したATP(生体活動エネルギー)は、生きている時にかなりの量が存在しています。と畜後は嫌気的状態で徐々に進む酸素不足条件下で、エネルギーを産生するため、ATP濃度が減少して、筋肉に硬直が起こります(死後硬直)。それは、筋肉の伸長・収縮は筋原線維を構成するアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの相互作用で生じますが、ATPが枯渇して相互のフィラメントの滑りが停止(架橋形成)することで硬直が起きるからです。牛でと畜後24時間で完了するとされています。

(2)死後硬直の解除

 硬直していた筋肉は、しばらくすると柔らかくなります。このことは「死後硬直の解除」とか「解硬」と呼ばれています。解硬は、先述したアクチンフィラメントやミオシンフィラメントを含む筋原線維の小片化、結合部(架橋)の脆弱化などによって起きるとされていますが、完全には解明されていません。解硬に伴い、柔軟性や保水性(後述)が回復し、イノシン酸やアミノ酸、ペプチドなどの風味が増してくるとされています。このしくみは(コールド)エージングに活用されています。

3.保水性、滲出性、しまり

(1)滲出性・保水性

 滲出性は、肉から浸み出す肉汁(ドリップ)の程度を示し、流通段階で重視される形質です。ドリップは、日常的には、コンシューマーパックの底面や、肉の盛り付けた皿と肉の接触面で観察できることもあります。滲出性の程度は水分含量とは直接関係がなく、肉自体が自身の遊離水(肉汁)を流出させずに保持する能力、すなわち保水性に関係しています。肉の中の水は殆どが、スポンジ状構造のたん白質の微細構造内に毛細管現象によって保持されています。pHや品温の水準やその変化が滲出性に対し影響を及ぼすことが知られています。ドリップロス(%)は、低いもので2%未満から、高いものでは20%超のものまで存在します。

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