と畜後の牛肉の変化と飼養管理が及ぼす影響について

枝肉見方・品質改善

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(原因)

ア.血中ビタミンA欠乏、たん白質栄養不足によって「ズル(水腫)」が起き、さらに変性が進行して「シコリ(筋炎)」となるとされています。ただし、乳用種や褐毛和種では、血中ビタミンAが欠乏していなくても発生し、飼養管理におけるストレスや潜在的な筋肉障害との関連があるのではないかとも考えられています。

イ.血液中の浸透圧を調整するアルブミンや免疫をつかさどるグロブリンなどの血漿成分は分子量が大きいので、通常、毛細血管から大量漏出することはありません。しかし、サシを入れていく過程で長期間の過度の低ビタミンA欠乏症が進行し、たん白質栄養が不足した場合、毛細血管の血管壁がザル状に弱体化し、分子量の大きいアルブミン等も血管外へ漏出すると考えられています。

ウ.発生部分において、初期は血漿成分(繊維素フィブリン)によりゲル状を呈し(ズル)、長期化すると筋繊維が変性壊死し、代償性結合組織(=膠原線維,コラーゲン)が進入します。その結果、結合組織(コラーゲン)を含んだ脂肪となるため物性として固くなるとされています(シコリ)。これは、ヒトが擦過傷後、血液が出て、次に褐色半透明な粘液(血漿成分)が出て、次第にかさぶたができて止血され固まっていく様子と似ています。

エ.また、ビタミンAやたん白質を補給しても予防・治療(軽症)がうまくいかなくなるケースは以下のとおり考えられますので留意が必要です。

(ア) 粗飼料摂取量が少なくルーメンアシドーシス傾向になり、ルーメン内でのビタミンAの破壊、肝臓でのエンドトキシン(ルーメンアシドーシスで産生されるエンドトキシンEndotoxin=内毒素)の解毒・負担が増大し肝炎・鋸屑肝を起こしているケース。

また、ワラ不足による第一胃絨毛の剥離(角化不全症、ルーメンパラケラトーシス)によって、露出した毛細血管からバクテリア(Fusobacterium)が肝臓に侵入・繁殖して肝膿瘍となって肝細胞がダメージを受けているケース。

あるいは、肝蛭が生息している水田からの稲ワラを充分(半年以上)乾燥させないで給与し、肝蛭が肝臓に寄生繁殖し、肝膿瘍を形成しているケース。

※ルーメン内のグラム陰性菌の死骸(細胞壁外膜構成成分)から漏出する。多糖と脂質の複合体でリポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)とも呼ばれています。

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