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2.色調異常牛肉
(1)DFD
DFDはdark(暗い) firm(硬い)dry(乾燥)の略です。
熱(ネツ)、水気(スイケ)、DCB(ダークカッティングビーフ)とも呼ばれています。
ロース芯のBCS等筋肉の色調が濃い牛肉です。このことにより、肉質等級も下げられるケースもあり、消費者は肉色に敏感なので、敬遠されがちです。
原因・過程は、次のとおりです。
①農家での飼養も含めてと畜前までの驚愕・恐怖・群内闘争・発熱・寒暖差などのストレスや食滞など長期栄養不良によって、筋肉内のグリコーゲン濃度が低下します。
②前述した嫌気的状態で解糖していく過程で、グリコーゲン不足で乳酸産生量の不足となります。
③そのことで、pHが下がりにくくなると(と畜後24時間で約6.0~6.5)とミオグロビンは濃い「紫赤色」還元型RMb(生体時のMb状況)の傾向が強くなります。また、pHが低下しないため、たん白質の等電点注25から離れ、たん白質の溶解性が高まります。そのような状況では、光線の透過率が高く、反射率は低くなるため、暗い肉色になります。この肉はドリップが少なく、乾燥状態を示すとされています。
注2:たん白質は、たくさんの解離基および極性基をもっており、水溶液中では分子間で、水溶液のphによって引力が強く働いたり弱くなったりします。最も引力が強くなるのが等電点です。
3.フケ肉(PSE・むれ肉)・異臭
(1)PSEはpale(淡泊)soft(柔らかくしまりがない)、exudative(ドリップが多い)の略です。むれ肉・フケ肉と同義語です。腿肉の深部は冷却が遅いので、冷却が不十分となります。高い温度で解糖が促進され乳酸産生となるため、肉が冷却される前に急速にpHが下がり(と畜後1時間で約5.5)となり、冷却遅延状態で起こるとされています。低いpHの肉は、先述のDFDとは逆にたん白質の等電点注2に近づくためたん白質の溶解性が低下するため白濁して明度が高くなります。しかも、冷却が遅延することで溶解性が促進されるとともに、保水性が低下し(ドリップが多い)、異常に鮮やかなむれ肉の異常肉色となります。最初は鮮やかでも「メト型」の割合が多くなっています。しまり、保水性が悪いため肉汁が多く滲出(漏出)し、味が悪くなっています。
なお、冷却がpH低下と同調しながら行われる場合は、たん白質の溶解性の低下が抑制され、保水性がそれほど低下しません。
※DFDとPSEで大きく異なるのは、発生時pH、滲出性・保水性であり、両者を比較すると前者はpHがやや高く(約6.5)、後者は低くなって(約5.5)います。滲出性は前者は少なく(保水性良)、後者は多くなって(保水性不良)います。



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