延べ1100頭の共励会・研究会のチャンピオン達に聞きました

共励会・種雄牛

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3.前期粗飼料の与え方の実態

(1)給与順序(配合飼料が先か、粗飼料が先か)

82%が粗飼料が先、15%が配合飼料が先、配合飼料・粗飼料同時が3%でした。ただし、配合飼料が先と答えた農家は、殆どが粗飼料を不断給与形態としていたので、実質的に90%超が粗飼料を先に給与していたと言えるでしょう。

(2)前期粗飼料の草種(稲ワラ以外、複数回答あり)

ア.最も多かったのはチモシーで64.0%でした。

イ.ついで、オーツヘイ6.7%、カットキューブ4.8%でした。

ゥ.その他として、イタリアンストロー、大麦ストロー、カットアルファー、フェスクストロー、オーチャード、稲ホールクロップサイレージ、イタリアンサイレージ、コーンサイレージ、リードカナリーグラス、発酵バガス、ビートパルプ、土手草、ビール粕が挙げられました。

(3)粗飼料多給時の量および期間

ア.期間のレンジは、1.5ヶ月〜通期でした。

イ.量のレンジは、2.09.0㎏でした。

ゥ.量×期間は多様化していましたが、上位は以下のとおりです。

⓵4㎏×3ヶ月:24.7

⓶5kg×3ヶ月:9.5

⓷2kg(稲ワラ)×通期:6.3

⓸3㎏×3ヶ月、4㎏×2ヶ月、6㎏×3ヶ月:各5.8

(コメント)

(1)第1の質問の背景は、第Ⅰ・Ⅱ胃の恒常性の維持管理です。粗飼料と比較すると、配合飼料の方が第Ⅰ・Ⅱでの消化速度(溶解性)が速く、そのことに伴って代謝産物である有機酸の発生速度が速くなります。一方、粗飼料の消化速度は遅く、咀嚼、反芻での唾液(弱アルカリ性)の溜飲量が多くなります。そのため、ルーメンアシドーシスが発生しづらく、そのことによる食い止まり・下痢軟便の発生が少なくなります。粗飼料が先というのは、飼料摂取のトラブルを軽減させようとする意図からでしょう。

(2)また、「粗飼料が先」のその他の効果としては、群飼でのボス牛のドカ食いを原因とした、群内増体量のバラツキの抑制や、無駄脂付着の抑制などの試験報告があります。

(3)第2の質問の背景は、腹づくりのための道具は何かです。牛の嗜好性や発育のための栄養を考えると、単一より複数の組み合わせが推奨されます。さらに、経済性、入手しやすさや保管性等の条件で選択されると考えられます。その結果、稲ワラ以外では、チモシーをメインにする生産者が2/3でした。

チモシーの主な特性は、①嗜好性良好(たくさん食べれるか)、②可消化性繊維、タンパク質、ミネラル等の栄養が豊富(牛の骨格、筋肉の発達に良いか)、③稲ワラに比べ高価(経済性)だが、入手しやすい等です。これと、反対に稲ワラ単一ですと、よっぽど良質でない限りたくさん食べることができません。

(4)第3の質問の背景は、腹づくりのための粗飼料の与え方です。時期について、山崎らは、第Ⅰ+Ⅱ胃の発育最盛期を8.012.6ヶ月齢と報告しています。杓子定規的に言えば、10ヶ月齢で導入した場合、第Ⅰ+Ⅱ胃は、あと2.6ヶ月間拡張できることとなります。アレンジ要素としては、①骨格の大きさ、②第Ⅰ・Ⅱ胃のボリューム、③筋肉や無駄脂の付着状況などで加減することになります。給与量については、数えきれないほどの試験がなされていますが、肥育マニュアルでは3.55kgはよく見かける数値ですが、同様に牛の状態によって加減することになります。(このことについては、養牛の友2019.3月号を参照してください)

(5)補足(発酵飼料の給与)

 発酵飼料は、粗飼料と濃厚飼料の中間的な性格を持っています。以下に発酵飼料のコンセプトを紹介します。

.地域によっては一定の品質の粗飼料の手当が難しい場合もあります。そのような場合は,多量に粗飼料を摂取させることはかなりの手間がかかることが想定されます。(発酵飼料は味付け以外にも第一胃の恒常性保持との効能もあるとされている)

.そこで,品質が良質でなくても発酵飼料で味付けしてダマシダマシ摂取させる事例がりあります。

.発酵飼料使用上の注意

①酸味・酸味臭がきついため1週間ぐらいかけて馴致することが必要です。

②ビール粕・ウイスキー粕などの製造粕・糟糠類を主体としているため,一般的に飼料成分はたん白質が高くTDNが低い傾向にあるので,前半の胃袋拡張・赤肉生産は栄養的に充足するが,後半の脂肪蓄積には不向きです。

③このため,雌は良い事例が多いが,去勢ではサシ不充分な事例が多い。後者では,トウモロコシや大麦を添加することが少なくない。

④一方で,牛が発酵飼料に慣れると,ヤミツキになり少なくしたとたん飼料摂取量が低下して失敗する事例もあり,給与体系は工夫が必要です。

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