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令和元年10月
冨谷尚博
1.はじめに
(1)日本格付協会は、枝肉の価値に大なり小なり影響を及ぼす瑕疵の種類区分(ア、イ、ウ、エ、オ、カ)を、歩留・肉質等級に付記しています。
(2)種類区分は、ア;シミ、イ;ズル、ウ;シコリ、エ;アタリ、オ:カツジョ、カ:その他(ア〜オに該当しないもの)としています。
(3)近年の肥育牛の全国の瑕疵発生状況(去勢のみ、全国)は表1のとおり、アタリが最も多く、次いでシコリの順になっています。シミ、ズルの発生率は、シコリより少なくなっています。

(4)今回は、そのうち飼養栄養学的な要素が関連するとされたア、イ、ウについて述べたいと思います。
2.原因
ズル・シコリ
(1)最も報告数が多い症例は血中ビタミンA欠乏、たん白質栄養不足によって「ズル」が起き、さらに変性が進行して「シコリ」となるとされているものです1)。
(2)血液中の浸透圧を調整するアルブミンや免疫をつかさどるグロブリン等の血漿成分はミネラルとともに血管内外の浸透圧を調整しています。そのため、通常、毛細血管から大量に漏出することはありません。しかし、サシが入っていく過程で長期間の過度の低ビタミンA欠乏が継続すると、肝臓が炎症(ビタミンA欠乏による伊東細胞の炎症)を起こすことがあります。そうすると、アルブミンの合成障害による浸透圧恒常性の破たんとともに、筋肉組織の毛細血管の血管壁がザル状に弱体化し、血漿成分(アルブミン等)が毛細血管外へ漏出します1)。



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