肥育牛の肝臓廃棄について

枝肉見方・品質改善

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3.肝機能を低下させると考えられる要因(飼養管理面から)

(1)血中ビタミンA濃度の長期低下

通常、脂肪交雑を向上させるために肥育中盤で血液中のビタミンAを低下させることは必要なことです。しかし、そのことが、肝臓のビタミンA貯蔵器官である星細胞中の脂肪滴を消失させ、繊維化が促進されることで肝炎が発症することがあります。 (図12:19、25か月齢で肝機能低下、図2:19か月齢でビタミンAが低下)

       (松田ら(2017)臨床獣医、39)  

(2)濃厚飼料の多給

筋肉内脂肪(脂肪交雑)を充実させるためには、肥育中盤以降、増体+維持エネルギー以上の濃厚飼料を給与します。その場合に肝炎が発生しやすいとされています。また、長ワラの給与量が不足した場合や濃厚飼料を粗飼料より先に給与した場合にも、発生しやすいと言われています。

ルーメンアシドーシスによる肝炎は、ルーメンのpH低下により微生物(グラム陰性バクテリア)が死滅してエンドトキシン(内毒素)が産生され、肝臓での解毒で過負荷がかかるため発症します。症状が重篤な炎症で、鋸屑肝として分類されているものがあります。

(3)粗飼料(稲わら)の物理的刺激の減少

肝膿瘍、胆管炎という病名です。これらは、①粗剛性のあるワラの給与不足により、胃の表層の絨毛が剥離し(第一胃角化不全症、ルーメンパラケラトーシス)、そのことで露呈した毛細血管からバクテリア(Fusobacterium)が肝臓に侵入・繁殖したピンポン玉様の膿瘍を形成し、肝炎を起こします。胆管炎がひどい場合閉塞性(消化酵素が通る輸送管が詰まること)となります。

(4)肝蛭

肝蛭は水田に生息します。乾燥不充分なワラを給与することにより、水田の水路等に生息するヒメモノアラガイあるいはコシガタモノアラガイに寄生する肝蛭(幼虫のメタセルカリア)がワラに付着し、それを摂取した牛の腸管から肝臓内等に侵入し、小腸の点状出血、横隔膜の癒着、肝膿瘍、胆管炎等を起こします。ただし、生息地は地域性があるので、生乾きワラ給与で必ずしも発生するとは限りません。

(5)栄養不足による組織分解・脂肪肝発生

ルーメンアシドーシス、ビタミンA欠乏、ルーメン容積の未発達、腸間膜脂肪壊死等による食滞が起きると、エネルギー・たん白質不足傾向となります。そのため、外部からの栄養不足を内部蓄積栄養で補おうとするため、脂肪組織や筋肉組織での脂質の異化(次いで筋肉組織でのたん白質の異化)が起きます。その結果、組織で産生された遊離脂肪酸が肝臓に集積されるため、脂肪肝形成が促進されます。

たとえて言うと、肝機能低下・栄養不足のため「ウシが自分のサシ・光沢テリを食った」ということです。

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