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エ.肥育後半での強肝剤投与
松田のデーターによると25ケ月齢で、ルーメンアシドーシスによる肝炎が多くなっています。25ケ月齢前にも、もう1回強肝剤の投与を検討しましょう。※試験管レベルでは、エンドトキシンを含むルーメンジュースにウルソデオキシコール酸を混和させると、かなりの割合で無毒化されることも確認されています。このため、肝炎治療とエンドトキシン無毒化を狙うのであれば、注射より経口製剤が薦められます。
オ.配合飼料の原料組成
ルーメンアシドーシスの発生に影響を及ぼす要因として、配合飼料(濃厚飼料、以下同様)中の原料組成があります。麦等の第一胃溶解性が早いデンプン高含有の原料を多く含む飼料を多給すると、第一胃のpHが低下しやすくなります。
配合飼料の成分は、目標とする枝肉や発育に合わせ、筋肉の発育が主体の肥育前半はたん白質を高めに、脂肪交雑や脂肪組織の発育が主体の肥育後期はデンプンを高めにする事例が多く見受けられます。ルーメンアシドーシスの発生が多い場合、肥育後半のデンプン原料、すなわち穀類の使い方に注意を払ってみましょう。以下は主なものです。
①麦類
麦類は穀類な中ででも消化速度が速く、粉砕の細かいほど消化が速くなります。大麦は微粉砕より粗い粗粉砕・挽砕にしましょう。圧扁 は加熱温度によって消化速度が異なりますが、市中出回り品は、微粉砕より消化速度が遅いことが多いようです。
小麦粉の副産物であるフスマを給与する時も、粉の歩留りが高い特フスマ(昔の専増産ふすま)は、消化速度が速いため、多配とならないように注意しましょう。
麦としての配合割合は、多くて3~4割程度ですが、全体で半分以上とする場合、給与方法や加工形態に留意する必要があります。すなわち、微粉砕の粉モノを主体とせず、粗粉砕品、挽砕品をミックスし、反芻を促進するために稲ワラをやゝ多め(2kg/日前後)に給与しましょう。
②米
モミ殻付は消化しづらいので、そのままでは糞中にそのまま出てくることもありますが3割ぐらいまで給与して問題がなかったとする報告もあります。その粉砕品は2割前後まで多給できます。
玄米は粉砕粒度が微粉のものは、多配すると下痢軟便となることがあるので、加工形態をみて微粉の場合は、給与量を抑え気味(例:5%以下)にしましょう。麦類同様、稲ワラをやゝ多めに給与しましょう。
炊飯後嫌気(乳酸)発酵させたものは、消化速度が速くなっているので、給与量に注意しましょう。
③とうもろこし
粗粉砕では米ほど消化速度は速くありませんが、微粉砕の場合は、消化速度が速くなるだけでなく嗜好性の低下も稀に見られ、給与方法に留意する必要があります。
圧扁 は薄いと微粉砕同様に消化速度が速く、麦類同様、稲ワラをやゝ多めに給与しましょう。厚めの圧扁 は多給してもそれほど心配はないと考えられます。
以上述べた「消化速度の速い穀類給与すること」は、サシや光沢テリを求め、肉質を改善していく意味で必要なことです。ルーメンアシドーシスとはトレードオフ(一方を立てれば、他方がまずくなる関係)の関係にあります。そのことを認識し、改善策である稲ワラの必要量は個体差があることを踏まえ、日常的に牛舎別にエサの摂取状況(食い止まりがないか)や糞便(下痢・軟便がないか)の状況を観察して、飼養管理にフィードバックさせていくことが肝要です。



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