飼い直しについて

肥育管理

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                                 技術・情報部 冨谷 尚博

1.はじめに

和牛肉生産の経営収支は、関連資料(マル緊補填単価の推移、ALIC)を見ると、平成26年から29年にかけて生産コストを粗収益が上回っていました。しかし、生産費の2/3を占めるもと畜費(肉用牛生産費調査、農林水産省)が枝肉相場の上昇に伴う増加で、経営収支は平成30年後半から、コスト割れの傾向となってきました。   

このような状況下では、販売単価低下時でも売上高の低下をできるだけ抑えるために、素牛高対策としての枝重大型化がますます重要となってきています。そのための主な技術としては、肥育前期では「飼い直し」であり、肥育中期以降では「濃厚飼料の高位安定化」や「瑕疵予防対策」や「内臓疾病対策」など考えられます。

これらの技術のなかで、①肥育のステージとして一番先に取り組まなければならない、②その成否が肥育中期以降の個々の技術の成否に影響を与えやすいと考えられる、「飼い直し」について考察したいと思います。

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2.飼い直しの目的

飼い直しは、一般的に繁殖農家で育成された子牛をスムーズ゙に筋肉のサイズアップや脂肪交雑をいれていく肥育に向けての助走期間とも言えます。

通常の肥育での飼い直しの主な目的は、以下のとおりと考えられています。

(1)肥育期後半に向け漸増する栄養(熱量)要求量を摂取できる大きな容量の胃袋(第1・2胃)を発達させる。

(2)子牛育成期に引き続き、筋肉を発達させる。

(3)歩留り低下につながる筋間脂肪や皮下脂肪の過付着を抑制する。

(4)脂肪壊死につながる腸間膜脂肪や腎周囲脂肪の過付着を抑制する。

一方、枝重大型化を目指した飼い直しにあたって、子牛は性別、日齢、体重、体型、血統など形質が千差万別です。そのため、可能な範囲で子牛の状況によって飼い直し方法をアレンジしていくことが必要となります。

 たとえば、体重/日齢が大きく、脂肪を背負っているような子牛(俗に言う「オマクラ」の目立つ牛)では、日本飼養標準に準拠して、体重なりの熱量を与えると、皮下脂肪や筋間脂肪の過付着した枝肉になったり、肥育後半の長期ビタミンA欠乏症の条件が重なると脂肪壊死発症の危険性が出てくることが考えられます。

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