令和4年1~6月期の東京食肉市場枝肉の種雄牛を見てみました -どのような種雄牛が、何を評価されているのでしょうか-

共励会・種雄牛

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1.はじめに

(1)牛肉の流通で、生産者(肥育)が出荷した牛は、食肉卸売市場や産地食肉センターで「枝肉」に加工され、値決めされます。その後は、食肉卸売業者や食肉加工業者を経由し「部分肉」やさらに「精肉」となって、専門店、外食店、小売店へ販売され、消費されていきます。

(2)生産者にとってみれば、肉の品質が良く枝肉重量が大きく仕上がり、生産コスト(肥育素牛費、飼料費、労働費など)を上回った金額で売れたか否かが関心事です。

(3)食肉卸売業者・食肉加工業者にとっては、競り落とした枝肉の不需要部位(骨、脂など)が少なく、換言すれば肉の歩留が高く、消費者に「美味しい」と評価され、高い値段で買って貰うことが重要となります。

(4)そこで、流通の川上にあたる食肉卸売市場のセリ取引では、「美味しさ」の大きな指標であるBMS(ロース芯の脂肪交雑のグレード=筋肉内に細かな脂肪がたくさん分散、存在しているほど高い評価となる)、部分肉歩留(皮下脂肪など余分な脂が少なく、価値の高いロース芯が太いか否かを推定式で計算して歩留評価する)が良好なものが高い単価となります。

(5)高く取引されるか否かの指標であるBMS、ロース芯面積、枝重などは遺伝することがわかっています。そこで、肥育・繁殖の生産者は、食肉卸売市場で開催されるコンテスト(共励会、研究会など)の結果で、どの種雄牛のどの指標がどの程度優れたかという情報を集めています。

(6)同様に、食肉卸売業者の関心が高いということは、言うまでもありません。

(7)それぞれのBMS、ロース芯面積などの成績は、遺伝のほか農家の飼い方(飼料の与え方など)の影響(プラスもマイナスも)を受けることが知られています。プラスもマイナスもばらつくことから、できるだけ多い頭数をもとにした平均値で比較することが評価の正確さにつながります。たとえば、1、2回だけ好成績を出しただけでは、たまたまかもしれませんし、本来の遺伝形質は判然としないということになります。

(8)このようなことから、日本一規模が大きい卸売市場「東京都中央卸売市場食肉売市場」で取り扱量が多いJA全農ミートフーズ株式会社の枝肉成績における当団とその他の種雄牛を比較しました。

2.分析対象の条件

 (1)荷受:JA全農ミートフーズ株式会社(全農県本部、JA経由)

 (2)上場市場:東京食肉市場

 (3)生産エリア:東日本中心(一部、三重、佐賀、宮崎、鹿児島)

 (4)グレード:共励会、研究会、勉強会出品牛(いわゆるコンテスト出品)

 (5)時期:令和4年1~6月上場牛(和牛去勢)

 (6)入手成績:JACCネット一般公開データ

3.比較上の留意点

 成績には先述した環境要因注)が含まれるので、1頭あたりの最低上場頭数を設けて、環境要因を可能な限り圧縮しました。注)環境要因:遺伝要因以外で、飼料や気候などの要因です。データ数を増やすことにより、ある程度相殺できます。環境要因が含まれるので、1頭あたりの最低上場頭数を設けて、環境要因を可能な限り圧縮しました。

4.結果

 (1)人気の種雄牛

  出品頭数を比較し、20頭以上を抜粋比較しました。

  出品頭数は、高成績ゆえの人気度の指標となっていると考えられます(そのほかの要因としては、系統の造成時期の新旧があります)。当団売上げトップのバランス(BMS,ロース芯面積、枝重)に優れた「福之姫」の出品頭数が圧倒的でした。以下№2は古くからBMSの優れた「美津照重」、№6はBMSと初産分娩に適した「愛之国」と続いています。

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