ET活用の双子生産における虚弱個体の             人工哺乳時の発育遅延の改善事例

肥育管理

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4.考察

  (1)発育遅延の取戻しに対する投与の影響

 発育遅延の取戻しを、DGで比較すると無処理に比べ、ウルソ初期投与が治療投与に比べ優れる傾向にあり、特に取戻し量の確保が必要な虚弱個体で優れた傾向でした。

  (2)便の性状に与える投与の影響

 下痢・軟便発生日数は虚弱個体は正常個体に比べ多い傾向であり、消化機能が相対的に未発達であることが示唆されました。この消化機能の劣勢な虚弱個体の下痢・軟便日数を両区で比較すると試験区が少なく、消化機能の劣勢をウルソは改善できることが便性状において示唆されました。また、投与方法では、ウルソ初期投与が治療投与に比べ、下痢・軟便の発生が抑えられる傾向でした。しかし、特に虚弱個体ではウルソのみでの便性状の改善は完全とは言い難く、必要に応じその他動薬(下痢止め等)の併用も必要であることがわかりました。

 (3)飼料要求率に与える影響

    本試験のような哺乳初期の摂取エネルギーの大半を占めるのは第四胃が消化する代用乳です。その代用乳の要求率いおいて試験区が優れる傾向であったのは、ウルソ投与の利胆作用で胆汁分泌量が促進され脂肪分の消化吸収が促進されたためと考えられました

  (4)血液性状に対する投与の影響

 血液成分では、栄養吸収の指標である総コレステロールの14~30日齢の上昇分は小型個体は、試験区の方が多く、正常個体は対照区の方が多く、特に取戻し量の確保が必要な虚弱個体では、ウルソ治療投与に比べ初期投与が栄養分の消化・吸収に良い影響を与える傾向でした。

 30日齢の遊離脂肪酸については、正常個体および虚弱個体とも試験区が高い傾向でした。血中の遊離脂肪酸は飢餓状況では、維持エネルギーへの体脂肪の動員の指標となる(岡田啓司ら、1999)が、高栄養下では食餌性の脂質の多さを反映するとされています(佐々木ら、1998)。本試験では、DGが正常個体も虚弱個体も試験区の方が高く、栄養状況は良好(高栄養)であったことを示していました。このことは、試験区において胆汁分泌量の少ない初生牛がウルソ初期投与によって利胆作用が促進され、さらに代用乳の脂肪消化吸収が効率化され、最終的に血中に食餌性遊離脂肪酸量の多さとして反映され、増体エネルギーとして寄与したためと考えられました。

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